Q&A集

放射線・放射能についてのご質問にお答えします。

放射線量の測定に関して

  • Q
    空間ガンマ線線量率の値がモニタリングステーションごとに異なるのはなぜですか?
    A
     空間ガンマ線線量率は測定器が設置された周辺環境に影響されます。 モニタリングステーション付近に崖や山の斜面があると、平地にモニタリングステーションがある場合より、地中に存在する天然放射性物質から放出される放射線が多くなるため、やや高い線量率が検出されます。
    周辺環境による影響
  • Q
    雨が降ると空間ガンマ線線量率の値が上がるのはなぜですか?
    A
     空間ガンマ線線量率は通常、宇宙からくる宇宙線と地中からの自然放射線で構成され、ほぼ一定の値が連続測定されます。 ところが、雨や雪が降ったときには空間ガンマ線線量率の値が上昇します。

     これは以下で述べる天然放射性物質の影響によるものです。
    雨が降った日の空間ガンマ線線量率時系列グラフ
     地中に存在する天然放射性核種のウラン系列は壊変によりラドン(Rn)-222という放射性核種を生じます。 このラドン-222はガス状の物質であり、地中から大気中に放出されます。 このラドン-222は更に壊変して、鉛(Pb)-214やビスマス(Bi)-214を生じます。 鉛-214やビスマス-214はラドン娘核種と呼ばれ、ラドン-222とともに天然放射性核種です。

     これらラドン娘核種は普段ちり状になって大気中を浮遊していますが、雨や雪が降ると雨滴や雪に付着して地表に落下します。 この地表に落下したラドン娘核種から放出される放射線を検出してやや高い線量率が検出されるのです。
    降雨のないとき 降雨のとき
     通常、牡鹿半島での空間ガンマ線線量率は60~80nGy/h程度ですが、雨や雪が降ると数nGy/hから数10nGy/h程度の上昇がみられます。 このように上昇する値に幅があるのは、大気中に含まれるラドン娘核種の量や、その時々の気象状況が異なることによるものです。
  • Q
    モニタリングステーションや放水口モニターの測定値が時々「調整中」と表示されるのはなぜですか?
    A
     測定値が「調整中」と表示されるのは次のような場合があります。

    ・ 測定器やデータ収集・解析装置の動作不具合の調整

     これらの場合、モニタリングステーションの測定器やデータ伝送装置、中央監視局のデータ収集装置や解析装置などを停止させて作業を行ないます。

     この間、データが収集できなくなることから「調整中」と表示します。
  • Q
    原子力発電所からの影響がなくても、空間ガンマ線量率の測定値に異常な値が生じることがありますか?
    A
     当センターでは原子力発電所から放出される放射能由来の放射線をモニタリングステーションやモニタリングポストで常時監視しています。

     モニタリングステーション等で空間ガンマ線量率を監視していると、原子力発電所からの影響がなくても、次のような場合には、線量率が上昇したり、異常な値が検出されることがあります。

    ・ 雨や雪が降った場合に天然放射性核種の影響で線量率が上昇することがあります。

    ・ 宇宙線の影響と推定されますが、線量率が瞬間的に上昇することがあります。

    ・ モニタリングステーション等の近くで、住民の定期検診のためのレントゲン車によるエックス線撮影や、建築物の非破壊検査を行った場合、エックス線等の影響を受けて高い線量率が検出されることがあります。

    ・ 人工放射性核種を投与する核医学診断等を受けた人がモニタリングステーション等の付近を通った場合に、投与された核種からの放射線の影響により、線量率が上昇することがあります。


     当センターでは過去のデータを基にした基準値を設けて線量率の常時監視を行っています。

     異常な測定値が検出された場合は測定値の詳細な分析を行うほか、発電所の関連情報などをあわせて総合的に評価することによって、発電所からの影響の有無を評価しています。