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空間ガンマ線線量率は通常、宇宙からくる宇宙線と地中からの自然放射線で構成され、ほぼ一定の値が連続測定されます。
ところが、雨や雪が降ったときには空間ガンマ線線量率の値が上昇します。
これは以下で述べる天然放射性物質の影響によるものです。
地中に存在する天然放射性核種のウラン系列は壊変によりラドン(Rn)-222という放射性核種を生じます。
このラドン-222はガス状の物質であり、地中から大気中に放出されます。
このラドン-222は更に壊変して、鉛(Pb)-214やビスマス(Bi)-214を生じます。
鉛-214やビスマス-214はラドン娘核種と呼ばれ、ラドン-222とともに天然放射性核種です。
これらラドン娘核種は普段ちり状になって大気中を浮遊していますが、雨や雪が降ると雨滴や雪に付着して地表に落下します。
この地表に落下したラドン娘核種から放出される放射線を検出してやや高い線量率が検出されるのです。
通常、牡鹿半島での空間ガンマ線線量率は60~80nGy/h程度ですが、雨や雪が降ると数nGy/hから数10nGy/h程度の上昇がみられます。
このように上昇する値に幅があるのは、大気中に含まれるラドン娘核種の量や、その時々の気象状況が異なることによるものです。